ウーパールーパーとは?その正体と生態について。
公開:
更新:
1980年代に流行したウーパールーパーについてまとめました。
そもそもナニモノ?どういう生き物なの?といった疑問にお答えます。
大きさや生息地、名前の由来などなど。
目次
ウーパールーパーの正体
よく間違えられるのですがウーパールーパーはエリマキトカゲなどのトカゲではありませんし、魚でもありません。
ウーパールーパーはカエルと同じ両生類でサンショウウオと呼ばれるグループに属しています。
水族館でよく見るオオサンショウオやイモリと同じ仲間なのです。
しかし同じサンショウウオとは言え形がかなり違うと感じているでしょう。
その謎は両生類の「変態」が強く関わっています。
両生類の変態って?
両生類の変態とはオタマジャクシがカエルになることを言います。
オタマジャクシの時はエラ呼吸を行って水中生活を行いますが、カエルになると肺呼吸に変わり陸上生活を行います。
ウーパールーパーが属しているサンショウウオも卵から生まれた時はエラを使って水中で過ごします。
サンショウウオの幼生(オタマジャクシ)はこんな感じです。
顔の左右に生えた3本の突起物は呼吸器官で魚でいうエラにあたり、「外鰓」と呼ばれます。
変態を行って陸上生活に適応すると顔に生えたエラは消失します。
この姿を見てお分かりでしょうが、ウーパールーパーはこの形態なのです。
ウーパールーパーをかなりはしょって言うと変態前のサンショウウオということになります。
幼生成熟(ネオテニー)
「じゃあウーパールーパーは成長するとエラが無くなるの?」、となりますよね。
しかしながらウーパールーパーは変態しないという珍しい特徴を持っています。
カエルでいうとオタマジャクシのまま大人になり、卵を生みます。
これを幼生成熟(ネオテニー)と呼びます。
ネオテニーであるウーパールーパーは変態しないので、エラが消えることはありません。
ここまでを整理すると「ウーパールーパーは変態しない幼生成熟のサンショウオ」ということですね。
ウーパールーパーのルーツ・生息地
実はウーパールーパーのルーツは日本ではありません。
海外に棲む「メキシコサラマンダー」というサンショウオがウーパールーパーのルーツにあたります。
メキシコサラマンダーについて
ウーパールーパーの元になったメキシコサラマンダーはその名の通り、北アメリカのメキシコ合衆国に生息しており、メキシコのうち首都であるメキシコシティのソチミルコ湖およびその周辺に生息しています。
メキシコサラマンダーは先述した幼生成熟を行う非常に珍しいサンショウウオでした。
加えてメキシコサラマンダーは驚異的な再生能力を持ち、手足やシッポ、エラのみならず損傷した臓器までも再生する能力を持っています。
このことから採取され、実験・研究動物として長い歴史を持つことになりました。
白色個体の出現
実験動物として何代にもわたって増やされている中、突然変異により白いタイプが現れました。
これを品種改良により固定化したものが今の白いウーパールーパーであります。
ウーパールーパーは人に作られた生物と言っても過言では無いでしょう。
ですがこの時点ではウーパールーパーとはまだ呼ばれていません。
ウーパールーパーとしての始まり
ウーパールーパーが始まったのは1985年に遡ります。
日清のカップ焼きそば「UFO」のTV CMに宇宙からやってきた「ウーパールーパー」というキャラクター名で白色固体のメキシコサラマンダーが起用されたのです。
ポップなキャラクターソング(ウーパー・ダンシング)とともにTVに登場。
TV CMを見た世間は物珍しさと愛くるしい姿から一躍ウーパールーパーとして知られるようになり、ブームとして大流行しました。
これがウーパールーパーの始まりです。
ブームがあったからこそメキシコサラマンダーとしてではなくウーパールーパーとして現在知られるようになったのです。
その後のブームが落ち着いてからもTV番組スタジオの水槽で泳がされていたりとウーパールーパーは一定の地位を獲得しました。
つまりウーパールーパーの正体って?
情報を整理すると、ウーパールーパーの正体は「メキシコに生息するネオテニー(幼生成熟)のサンショウウオであるメキシコサラマンダーを改良品種したもの」ということです。
ややこしいので箇条書きにしますね。
- ウーパールーパーはメキシコサラマンダーと言うサンショウウオが元になったイキモノ
- メキシコサラマンダーは変態して陸化しない幼生成熟(ネオテニー)である
- 実験動物として飼育されている中、突然変異で白いものが出現
- 日清焼きそば「UFO」のPRでウーパールーパーというキャラクター名で白いメキシコサラマンダーが登場して広まった
ウーパールーパーの生態・大きさ
ウーパールーパーは先述したとおりメキシコサラマンダーと呼ばれるサンショウウオです。
メキシコサラマンダーはサンショウウオのうちトラフサンショウウオと呼ばれるグループに属しており、よく似た仲間として「タイガーサラマンダー」や「アンダーソンサラマンダー 」がいます。
本来の生息地であるソチミルコ湖は標高が2240mにもなっており、最も暑い時期で最高26度・最低10度、寒い時期で最高21度・最低5度と年中ヒンヤリな気候。
普段は岩陰や木の陰に隠れて生活しており、水中にいる小魚や虫、甲殻類などを食べて生活しています。
大きさ
ウーパールーパーは23~27センチ程の大きさに成長します。
野生では30センチを超えることもあるそうですが、飼育下でこのサイズまで成長する個体は稀です。
見た目の愛嬌さとショップでは子供のサイズで売られていることもあり小さな生物と思われがちですが、残念ながら大きく成長してしまうのが事実です。
ウーパールーパーは絶滅危惧の恐れがある!?
ウーパールーパーの原種であるメキシコサラマンダーはメキシコのソチミルコ湖及びその周辺に生息しています。
しかしながらソチミルコ湖は土地開発や埋め立てなどによりほぼ残っておらず、もはや湖とは呼べなくなっています。
生息地の減少や食料として捕獲されることもあり、個体数が激減。
そのため絶滅しないようにワシントン条約附属書(CITES及びサイテス)にリストされ保護対象の動物になりました。
ワシントン条約は、絶滅の恐れのある野生動物、植物を保護することを目的とした条約です。
メキシコサラマンダーはこのサイテスの附属書2類にリストされてます。(2017/04/25現在、メキシコサンショウウオ及びAmbystoma mexicanum名義にて)
附属書2類の定義は以下の通りです。
国同士の取り引きを制限しないと、将来、絶滅の危険性が高くなるおそれがある生き物
引用元:ワシントン条約附属書
実はウーパールーパーの元になった生き物は絶滅の可能性がある生物なのです。
ウーパールーパーを取引、飼育するのは違法?
「絶滅危惧で保護されているということは飼育自体も禁止なのでは?」と思うこととおもいます。
ワシントン条約附属書2類の規制内容は以下の通り定義されています。
輸出入には、輸出国の政府が発行する許可書が必要となる。
引用元:ワシントン条約附属書
規制されているのは輸出入であり国内で増やした生体については規制の範囲外となっています。
ショップで売られているものは日本国内で殖やしたものなので、売買及び飼育しても罪に問われることはありません。
色んな名前について
ウーパールーパーって人によってはアホロートルだと言う人もいますよね。
実はどれも正解なのですか意味が微妙に異なっているんです。
アホロートル
「アホロートル」はネオテニー(幼生成熟、変態しないこと)をもつトラフサンショウウオの呼称です。
そのためウーパールーパーのみならず、アンダーソンサラマンダーなど幼生成熟を行う他の種のことも含んでいます。
以下の画像はウーパールーパー(メキシコサラマンダー)と異なる生物のアンダーソンサラマンダーですがアホロートルではあるということです。
とはいえアホロートルと言えば本種を指すことがほとんど。
学校の理科の教科書にはこの名前で載っていましたし、他にも水族館や動物園ではこの名前で表記される場合があります。
※最近ではメキシコサラマンダーの方が正しいということでそちらに移っていっています。
名前の由来は見た目がアホっぽからではなく英語表記からの「Axolotl」が由来だとするのが正しい説。
発音的にはアショロトルが近いと思います。
Axolotlの由来
「Axolotl」は古代メキシコであるアステカ文明で表記されていたもので、「Alt」は水を意味し「Xolotl」は犬を意味し、つなげて水に棲む犬という意味があります。
またXolotl(ショロトル)はアステカ神話の崩壊と死を司る神で、ゲームでよくモチーフにされているケツァルコアトルの双子とされています。
アステカではAxolotl、ウーパールーパーも神の化身と考えられて、神聖な動物であった歴史を持っています。
ウーパールーパー
「ウーパールーパー」は先述したとおり1985年に日清やきそば「UFO」の商品PRで使われたキャラクター名です。
いわばニックネームのようなもので、やはり可愛い名前だと注目度も上がりますね。
1985年のブームによりこの名前が現在の主流になっています。
メキシコサラマンダー
「メキシコサラマンダー」は和名です。
和名は日本での学術上の正式な名前です。
文字通りメキシコのサラマンダーという意味で、サラマンダーはサンショウウオの英語(salamander)です。
メキシコサンショウウオと呼ばれることもありますね。
日本では一番正しい名前であり、水族館や図鑑などではこの名前で表記されつつあります。
Ambystoma mexicanum
「Ambystoma mexicanum」はメキシコサラマンダーの学名です。
学名は世界標準で決められた名前でラテン語で表されています。
「属名+種小名」の基本構成になっていて、「Ambystoma」が属名、「mexicanum」が種小名です。Ambystomaのmexicanumという意味です。
Ambystomaは日本語でトラフサンショウウオなので、トラフサンショウウオのmexicanumと言えば分かりやすいですね。
国際的に動植物を保護するワシントン条約附属書にもこの名前でリストされています。
参考:他の動物では・・・
学名は馴染みがありませんが、他の動物にも必ずついています。
例えば「ライオンはPanthera leo(ヒョウ属のレオ)」、「トラはPanthera tigris(ヒョウ属のtigris)」です。
学名からそのまま日本語になっている生物もいます。
例、Triceratops→トリケラトプス
ウーパールーパーの種類、バリエーション
ウーパールーパーは突然変異が出やすく、ルーツとなった白い個体も突然変異で現れたものです。
そのため現在では様々なタイプがあり、基本的な5種類のカラーバリエーションを紹介します。
リューシスティック
「リューシスティック」は白い体で目が黒いタイプのことで、最もよく知られたウーパールーパーです。
ホワイト黒目とも呼ばれます。
ファンの間では略してリューシと呼ぶことがあります。
詳しく!リューシスティックの特徴や写真など 」
アルビノ
「アルビノ」は目も含め全身が白いタイプのカラーバリエーションです。
黒の色素が無いものを「アルビノ」と呼び、先述したリューシスティックと比べ目が白または赤なのが特徴です。
リューシスティックは成長過程や個体差により顔やカラダにソバカスと呼ばれる黒い点々が表れることがありますが、アルビノは黒の色素を持たないためそのようなことがありません。
他のタイプと比べ視力が弱く餌と思って何でも食いつく性質が強いのも特徴です。
詳しく!アルビノの特徴や写真など
マーブル
「マーブル」は緑っぽい色に黒の斑点があるタイプです。
ひとくくりにマーブルと言っても迷彩柄に近い色をしていたり、薄い茶色ベースに黒の斑点があるタイプだったり、緑が強いものがいたりとマーブルの中のバリエーションも多様です。
その野性味ある体色から根強い人気があるウーパールーパーです。
メキシコサラマンダーの野生個体に最も近いカラーをしているのもこのマーブルです。
詳しく!マーブルの特徴や写真など
ゴールデン
「アルビノ」の中で特に黄色が強く、シッポや体にキラキラしたラメ模様が入るものはゴールデンと呼ばれます。
もっとも美しいウーパールーパーとも呼ばれ名前通りゴージャスな体色は目を奪われます。
アルビノでもあるため視力が弱いのですが、食欲旺盛なので見た目よりはとてもタフです。
詳しく!ゴールデンの特徴や写真など
ブラック
「ブラック」は全てが黒に近い一色のタイプです。
小さい時は体色に青みが見られ、この青みが強いものを「ブルー」と区別されて販売されていることもありますが、成長すると青みは消える傾向にあるためアダルト時の違いはほぼありません。
見た目が完全にサンショウウオの幼生であるため、サンショウウオの愛好家にも人気があるカラーです。
詳しく!ブラックの特徴や写真など
ペットとしてのウーパールーパー
特別な生き物扱いされているウーパールーパーですが、ふつーに飼える生き物です。
ウーパールーパーはとても丈夫。
簡単な設備で飼育することができるため、その可愛らしさと相まって女性の愛好家も少なくありません。
関連あのウーパールーパーがペット!?寿命、値段や飼育の難しさなど!
必要な飼育設備
ウーパールーパーを飼うのに必要なモノは金魚を飼うモノと同じで、特別な飼育設備は必要ありません。
飼育するために最低限必要なものは「水槽」、「ブクブク(フィルター)」、「カルキ抜き」、「餌」のたった4つのみです。
安く見積もって2000円ほどで揃えることができます。
ウーパールーパーの販売価格
非常に入手の難しい生き物と思われがちですが現在は繁殖されたものが安定して流通しており、ホームセンターなどのペットショップでも入手が可能です。
価格は2000円~3500円ほどと高価な生き物ではありません。
ただウーパールーパーの繁殖シーズンは冬になりますので、一番多く販売されるのが春先から夏前までになります。
その時期に熱帯魚を扱っているペットショップに行けば販売されていることが多いでしょう。
シーズンを過ぎると小さいウーパールーパーは入手が難しくなります。
関連ウーパールーパーの入手について。失敗しない選び方、お迎え方など
どれくらい生きるの?
正しく飼えばウーパールーパーは10~20年ほどの寿命になります。
しかしながら正しく飼育している人は少なく、実際は5年未満で死んでしまっていることが実情です。
ウーパールーパーの餌
餌はウーパールーパー専用の人工飼料が販売されており、多くの愛好家はこちらを与えています。
常温で保存できフタをあけて数粒与えるだけなので、一部を除いてミミズやムシなどを与えなくとも飼育可能です。
ただし人工飼料はデメリットも多く、成長ステージに応じて冷凍アカムシなどのより良いエサを与えたほうがベストではあります。
ウーパールーパーが食べるモノについては他にも色々ありますので詳しくは「ウーパールーパーの食べるもの。餌の種類一覧。 」をご覧ください。
ウーパールーパー日頃のお世話
餌は1日1回、食べ残さない量を与えます。
大きくなってくれば一週間に数回でも構いません。
飼育する水は水道水をカルキ抜きしたものを使って下さい。
水を綺麗に保つため3日~一週間に一度、1/2の水を取り換えます。
より良い設備を使うことで水換え頻度を減らすことができますよ。
詳しい飼い方については以下の記事をご覧ください。
終わりに
ウーパールーパーは認知度の割に意外とよく知られていない生き物です。
そんな不思議な生物ですがペットとしての側面もあり、実は金魚を飼うのと同レベルの飼育難易度。
飼っているのはむしろ女性の方が多く、主婦でも飼育されている方は沢山います。
安価で入手もしやすいペットですので気になってしまった場合はお迎えしてみてはいかがでしょうか。
のんびり愛嬌ある見た目に癒やされること間違いなしのペットです。
シェアしてね!
Sponsored Link
この記事へのコメント
ぁ〜すごい
可愛くて天使みたい✨
買って見たいと思った。
今度チャレンジしてみようかな
ウーパールーパーかわいいwwwww私も飼いたいぃ
私は飼っていて可愛いです
可愛すぎ
>きっかけは、カップ焼きそば「UFO」のTVCMに起用されたこと
その前に動物番組で取り上げられてたぞ。それが元でCM起用となったのだ。
TBS系『わくわく動物ランド』も盛んに取り上げられたが、CMの前か後かは忘れた。
>>7
そうなんですか!!Σ(゚Д゚;)
ネットで辿って出どころが不確かな情報ではりますが、
・TBSわくわく・動物ランド:1983年4月13日から1992年3月25日
・ウーパールーパーCM:1985年
で手頃に調べられる現時点ではどっちが先かは言えないですね。
番組枠より広い放送であろうCMによる「ウーパールーパー」の名称起用と、それによる浸透とブーム着火が強かったと考えているので、記事表記はそのままにしておきます。
力及ばず・・・。
貴重な情報ありがとうございました!!
うちのウーパーはドライフードを食べなかったので週に一度30匹のメダカを入れてる
ペットフードのが良いのでしょうか
ウーパールーパーは、日本の企画屋で四季折々という名で活動した人物が、エリマキトカゲの二番煎じの珍獣ブームを狙い付けた日本独自の商標名です。
彼とその仲間は、企画をあちこちの企業に売り込み、日清UFOと日本酒の大関ノモノモ、計2つの企画でCM展開しました。キャラクターソングを歌ったアミは、尾崎亜美の変名で四季折々氏の親戚なので頼まれて歌いました。
しかし、彼らが頼りにしてた関口宏のワクワク動物ランドでは、いかがわしい商標の売り込みを拒絶され番組では、アホロートル/メキシコサラマンダーとしか紹介されませんでした。
商標としてのウーパールーパーは大失敗し、負債をかかえた四季氏は夜逃げ。残されたスタッフは解散し、最初の売り込みはブームになりませんでした。
その後、ペットショップで子どもの間に飼育が広がり、ブームが起きたかのように誤解が残されました。以上が当事者たちから聞かされた真実です。
初めてのウーパールーパー、飼ったら、楽しそう。 アパートでも、かえるかなー。
ウーパールーパー可愛すぎる!
でも触ったらいけないってすごく残念
ウーパールーパー最高!!ウーパールーパー最高!!
かわいすぎー☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆!
可愛い😍( ´ ▽ ` )