海水水槽のサンゴが調子悪い時に見直す4つのポイント

「サンゴのポリプが中々開かない、今まで調子が良かったサンゴの調子が悪くなった」

サンゴが不調、育たない、そんな時に見直すべき箇所を解説。

問題を改善してサンゴを復帰させましょう。

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硝酸塩濃度

硝酸塩濃度測定キット

まず最初に疑うべきは水の汚れである「硝酸塩濃度」です。

問題ないはずと思っていても、魚が死んだり、栄養バランスが崩れてバクテリアが機能しなくなったりと知らぬ内に上がっているものです。

硝酸塩濃度測定キットを使って、どのようなレベルであるかをチェックしましょう。

関連硝酸塩濃度測定キットのススメ!飼育できるサンゴや適切な水換えタイミングが分かる!

数値の目安

スプリンガーズダムセル理想的な硝酸塩濃度の目安は以下の通りです。

丈夫なサンゴ

10ppm未満

マメスナギンチャク、ディスクコーラル、スターポリプ、ナグラトサカ、キクメイシ、ウミアザミ、ウミコノコ、ミズタマサンゴ、クサビライシ・・・etc

通常のサンゴ

5ppm未満

チヂミトサカ、ナガレハナサンゴ、シャコガイ、丈夫なミドリイシ、コモンサンゴ・・・etc

シビアなサンゴ

2ppm未満未満

ツツハナガサとか難しいミドリイシ、SPS全般・・・etc

まず行うこと

水換えバケツとホースまず行うのは水換えです。

単純に濃度を下げる他、欠如していたバクテリアの栄養補充にも効果があります。

硝酸塩を処理するバクテリアは硝酸塩だけを消費するのではなく、他の栄養と共に硝酸塩を消費しますが、長期水換えをしていないことで使い切ってしまうことが起こります。

この場合水換えを行うことで、バクテリアが活動し始めるので単純に汚れを吐き出した以上に硝酸塩をググッと低下させることができるのです。

硝酸塩濃度を低いレベルで維持するためには?

レッドシーの硝酸塩濃度測定キット硝酸塩濃度を低いレベルで維持するためには複数の方法があります。

魚の数を減らす、強力なプロテインスキマーの導入、水換え頻度の増加、硝酸塩除去剤が一般的です。

設置していないならプロテインスキマーの設置が一番オススメ。
プロテインスキマーでもエアリフト式はただのエアーレーション装置なので、ベンチュリー式のものを設置すると良いです。

その他の方法や詳しい情報については「海水水槽の硝酸塩濃度を下げるために見直すべきポイントと対策方法! 」をご覧ください。

水流

水温32度超え時のウミアザミ次に不足している方が多いのが「水流」です。

水流が無くても維持できるサンゴはいますが、マメスナとかディスクコーラル、スターポリプなど極一部のサンゴのみです。

それらサンゴも多少ランダムな水流があった方が、ポリプは開きます。

特に安価で綺麗なウミアザミやチヂミトサカはこの水流がしっかりできていないとダメで、手をだして溶けたという人も多いのでは無いのかと思いますが、ほとんどの原因は水流です。

水流が弱い環境のシロスジウミアザミウミアザミ。
水流がダメな例。
シロスジウミアザミ水流の状態が良いウミアザミ。
本来はこう流れるべき。

ランダムで太い水流が欠如している

ディフレクター水流なら何でも良いのではと思いがちですが、ランダムで太いというのが一番のポイント。

単一のウェーブポンプや、簡易なディフレクターなのでは実現が難しくそれらだけでは水流をあまり必要としないサンゴしか飼育できません

私も昔、単一のウェーブポンプを組み合わせたり、小さなポンプにディフレクターを付けたものを複数設置したり色々試してみましたが、なかなか調子は上がりませんでした。

関連海水水槽における水流の効果と必要性

コントローラ付きのウェーブポンプを設置する

ウェーブポンプWMP4000のコントローラこれを解決するにはコントローラが付いたウェーブポンプを使用する必要があるのです。

コントローラによりランダムな水流が生み出せ、ウェーブポンプにより太い水流を作ることができるので、これ1台で足ります。

人気のチヂミトサカやウミアザミは水流でダメになってる人が多いので、コントローラ付きのウェーブポンプを使えば飼育が容易になります。

関連海水水槽の水流について。ポンプと作り方、考え方

照明

サンゴ用のLED照明サンゴは思った以上に照明を必要する生物です。

ただただ明るいというだけではなく、必要なスペクトルが含まれた光であることもポイント。
W数だけを見て安価なLED照明を積んでもダメなんです。

サンゴの育成のためにはサンゴ用に作られたフルスペクトルLEDまたはシステムLEDを使用します。

サンゴ用フルスペクトルLED

LED照明サンゴ用のフルスペクトルLEDはサンゴに必要なスペクトルをカバーしています。

青系、青白系ありますが適応サンゴが広いのは青系。
多くのサンゴは青い光の方を必要とし、青い光は同じワット数でも効果が高いです。
※ウミアザミとか超浅場のサンゴであるなら白いサンゴ用LEDの方が良い場合があります。

一番良いのはシステムLED
費用はかなりかかってしまいますが白い系・青い系など光の調整を自分で設定でき、光の強さも調整できます。

メタハラや蛍光灯を複数積むのも良いのですが、ちょっとハードルが高く使い勝手が良くないのでLED系がオススメです。

ワット数の目安

LED照明フルスペクトルLEDの場合の目安は以下の通り。

30cm水槽(深さ30):青系で20W~30W
60cm水槽(深さ40):青系で60W~100W

浅場サンゴの場合はよく当たる箇所に置いたり、より照明を追加したほうが良いでしょう。

関連サンゴを飼うための照明について。色や時間、LEDの使用感など。

栄養

カットしたナガレハナサンゴ硝酸塩、水流、照明が問題無さそうなら最後に疑うのは「栄養」です。

ハードコーラルは栄養が不足すると縮小してしまいがち。

ただ闇雲に栄養を添加すれば良いというワケではなく、水槽環境やサンゴの種類によって足りない栄養は変わります。

見当違いな栄養を添加して過剰栄養になった場合、硝酸塩濃度の増加・コケの繁茂を引き起こしてしまい、サンゴに余計なダメージを与えてしまいます

水換えで栄養を補充する

人工海水そのため最も簡単なのが大部分の水換えを行って適正な栄養レベルに戻すことです。

サンゴ用の人工海水および天然海水には栄養が適切なレベルで含まれており、水換えを行うことにより栄養を補充することができます。

一度3/5程度の水換えを行って栄養レベルを引き上げ、以後は1~2週間に一度1/3換水を行って栄養レベルを維持しましょう。

また人工海水の中には魚の維持だけを目的としたタイプがありますので、サンゴ育成用の人工海水を使用するのもポイントです。

下手に特定の栄養を添加するよりかはまず水換えが効果的です。

添加を行う場合は測定を

リーフファンデーションABC添加を行う場合は一度自分の環境を把握した上で添加を行うべきです。

サンゴの成長に必要な栄養素は色々ありますが、主要な元素と言われているのは「カルシウム・マグネシウム(・アルカリニティ)」です。

これらは水中の濃度を測定するキットが販売されていますので、まずこれらの数値を測定してみましょう。

マリンアクア製品を製造しているレッドシー社は以下のレベルを推奨しています。

カルシウム:450ppm
マグネシウム:1350ppm
(アルカリニティ:11.5dkh)

引用元:Red Seaのサイト「ファンデーションエレメンツ」水槽タイプ別の塩分濃度、アルカリニティ、カルシウム、マグネシウムの最適レベル(ミックスドリーフ)より抜粋

自分の環境と照らし合わせて、不足している栄養を補充していきます。

水換えは面倒なので、できれば栄養の添加で済ましたいと思うもの。
しかしながら過剰栄養で失敗しやすく、適切な栄養を把握するためには費用と手間もかかってしまうので正直水換えが楽でオススメです。
※測定キットは一種類だけで3000円もします。

まとめ、個人的な所感

導入時のウスコモンサンゴサンゴが調子悪い場合、まず疑うのは硝酸塩

測定キットを使って自分の水槽レベルを把握することがまず第一です。

次に多いのが水流

単一のウェーブポンプや簡易ディフレクターを買ってしまいがちですが不適切。作るのは海の海流です。
コントローラ付きのウェーブポンプを買えば簡単に解決します。

参考になりましたら幸いです。

基本を見直そう:サンゴの生態と飼い方!水槽でサンゴ礁を育てよう!

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