アピストグラマ・アガシジィの特徴・飼育情報

アピストグラマ・アガシジィ
大きさ目安6cm
飼育難易度気をつけたい
適応水質◎:弱酸性
○:中性
×:弱アルカリ性
性格少し注意
群れやすさ群れない。
遊泳底を中心にパトロール
値段の目安ペアで5,000~15,000円
別名

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主な特徴

アピストグラマ・アガシジィ」はは南米の宝石とも言われるアピストグラマの一種です。

アピストグラマは美しいことに加え繁殖も気軽に楽しめる熱帯魚として人気で、アピストグラマをメインに熱帯魚を楽しむ人も多くいるほどの人気熱帯魚ジャンル。

アガシジィはそのアピストグラマの中で最も代表種といっていいほど親しまれている魚で、ヨーロッパ諸国から養殖された”ブリード”個体、現地から採集された”ワイルド”個体、共に多く流通しています。

飼育がしやすい入門向けのアピストとしての1面もあり、古来よりアガシジィの頭文字をとって「”A”から始めるアピストグラマ」というフレーズもあります。

雌雄のアピストグラマ・アガシジィ”ダブルレッド”
アピストグラマ・アガシジィ”ダブルレッド”のメスメス(ダブルレッド)
アピストグラマ・アガシジィ
フィンスプレッディングをしているアピストグラマ・アガシジィ”マニスワ”

バリエーション

アガシジィが多くの愛好家に親しまれたアピストなのはバリエーションがかなり多いことであり、改良品種はもちろんのこと産地バリエーションも多く知られています。

改良品種 ”ダブルレッド”

アピストグラマ・アガシジィ”ダブルレッド”
アピストグラマ・アガシジィ”ダブルレッド”のアップ

最もメジャーなアガシジィが改良品種の”ダブルレッド”であり、昔から現在まで最も人気のバリエーション。

改良品種 ”ファイヤーレッド”

アピストグラマ・アガシジィ”ファイヤーレッド”
アピストグラマ・アガシジィ”ファイヤーレッド”の若魚若いオス個体

地色が通常のアガシジィとは異なり、派手なクリーム・オレンジ色をしています。

ダブルレッドに次いで人気が高く、お店によってはダブルレッドと並んで入荷しているところもあるほどです。

改良品種 ”ブルーフレーム”

アピストグラマ・アガシジィ”ブルーフレーム”
アピストグラマ・アガシジィ”ブルーフレーム”

比較的新しい改良品種で、かなり青が強化されておりギラギラとしたメタリック感が美しいアガシジィです。

登場して間もないからか改良アガシジィとしては高価な値段で流通しています。

ワイルド ”マニスワ”

ブラジルのプルス川水系で採取されたとされる”マニスワ”という流通名で販売されているアガシジィです。

フィンスプレッディングをしているアピストグラマ・アガシジィ”マニスワ”
アピストグラマ・アガシジィ”マニスワ”の雌雄

ワイルド ”テフェ”

ブラジルのテフェ川周辺で採取されたとされる”テフェ”の流通名で販売されるアガシジィです。

アピストグラマ・アガシジィ「テフェ」の1タイプ
威嚇するアピストグラマ・アガシジィ「テフェ」の1タイプ

テフェ産のアガシジィといえば青黒いド派手な個体群が人気ですが、写真のはそれとは別タイプになります。

ワイルド ”マニコレ”

ブラジルの自治体であるマニコレで採取されたとされる”マニコレ”という流通名で販売されているアガシジィです。

アピストグラマ・アガシジィ”マニコレ”
アピストグラマ・アガシジィ”マニコレ”その2

黄色が綺麗な個体です。

ワイルドは名前が同じでも違うタイプが来る

ワイルド個体は流通名が同じでも、シッパー(採取漁師)や採集地が異なると全く印象が異なるアガシジィが来ます。

「この産地名でくるのはあの色彩を持つものが多い」という傾向はありますが、同じ産地でも別タイプのものが来るのも普通にあります。

ワイルド個体は名前を鵜呑みにせずに自分の目で気に入った個体を購入するのがベターと言えるでしょう。

混泳・性格

温和なシクリッドで混泳に向いています。ただし同じシクリッド類の魚とはケンカする傾向があるのとメスへのあたりが強い面があるのでこの点は注意します。

シクリッド以外の魚に関しては大体無関心ですので、ネオンテトラを始めとする小型テトラやラスボラ、コリドラスなどとの混泳は全く問題ありません。

同じシクリッド類の熱帯魚とはテリトリー争いを行う傾向があるため注意します。

大きな水槽であれば同シクリッド同士の混泳も可能ですが、基本的にはオスメスのペアで飼育するのがセオリーです。

メスへのあたりが強いアピスト

アガシジィは水槽が狭かったり、隠れ家が少なかったりするとオスがメスをおいやったりボロボロにさせる傾向がありますので注意しましょう。
(これは温和でないアピスト全般に言える)

メスをおいたてるアピストグラマ・アガシジィメスを追いかけ回すオス
このような光景が見られたら何らかの手を打ちたい

メスの姿が見えなかったり水槽の水面付近の隅に追いやられている場合は、水槽のサイズアップ、隠れ家場所の構築、メスの隔離などを実施します。

放置しているとボロボロになって病気になって死んだり、外傷はあまり無くてもうつ病になって死にますので日頃からの観察が重要です。

水槽隅に追いやられたアピストグラマ特に水面端においやられている場合はすぐに対処しないと手遅れになる場合が多い

エサ

エサは何でも食べます。最も適しているのは沈下する人工飼料です。

アピストグラマ・アガシジィ”ダブルレッド”のエサを食べている様子人工飼料を食べるアピストグラマ

一般的に売られている熱帯魚のエサはだいたい沈むのと、慣れてくれば浮かんでいるエサも取りにくるので割りと熱帯魚のエサであれば大体OKです。

オススメは粒状の沈下するエサで、具体的な製品名をあげれば「コトブキのフライミックス 小粒~中粒」、「どじょう養殖研究所のグロウ C」、「デルフィスのデルフレッシュフード SM」などがよく使われています。

飼育ポイント・注意点

飼育は難しくありませんが、pHが高くなったり清潔さが失われたりすると調子を崩しますので気をつけましょう。

アピストの飼育水槽例飼育環境の一例

ネオンテトラやゼブラダニオなどの強健入門熱帯魚と比べてしまうと一段難易度は上がりますが、そのような入門熱帯魚を調子よく飼えてるなら十分チャレンジしても良いレベルの熱帯魚です。

ただし強健な入門熱帯魚と比べ、基本が出来ていないこと(アンモニアが検出される。水質変化が激しい等)による耐性がありませんので、魚がちゃんと飼えるような環境を用意する必要があります。

特別なことは必要ないのですが、何か基本的に抑えておくポイントが抜けてしまったとして、入門熱帯魚だと死なないところがアガシジィだと弱って死ぬことがある、というイメージです。

南米シクリッドは水質にうるさいものが少なくないのですが、ダブルレッドやファイヤーレッドなどの改良品種においては弱酸性から中性まで広く適応するため、基本的には水道水ベースで飼育可能です。

pHテスター水換え直前、水換え直後、水換え2日後など要所要所でpHを測定していればベターと言えます。
ワイルド個体の場合やや水質に注意

人の手によって増やされた”ブリード”のアガシジィと比べ、現地から採集された”ワイルド”のアガシジィは水質にやや敏感で、弱酸性の水質じゃないと調子を崩すこともあります。

数値的には改良品種であればpH4.5~pH7.5まで適応するのに対し、ワイルドのアガシジィであればpH4.5~pH6.5程度が目安です。

水道水の水質はpH7.0前後とワイルドのアガシジィにとってはやや高いので、底床にソイルを使用するなど水質が弱酸性寄りになるよう工夫を行い、要所要所でのpH測定を行うと良いでしょう。

病気の温床を作らないようにする

ソイルの底床掃除定期的な砂利掃除を

特に注意が必要なのが単純な清潔さ

底砂などに沈殿するフン・ゴミなどを長期間放置するとそこから病原菌が多く発生し、これにより病気になって死ぬことが一番多いです。

そうならないように定期的な底砂の掃除とフィルターが目詰まりしない程度のメンテナンスが重要になります。
(特にスポンジフィルター+ソイルのコンボは目詰まりしやすい)

ソイルを使った水草水槽の場合は”外部式フィルターの水流などで水通しを良くする”、”ソイルがむき出しにならないように底全面を水草で覆う”、”週1の定期的な換水”などで清潔に保ちます。

水草を植えない場合の底床は”極薄に敷く”のが、メンテナンスしやすくオススメです。

繁殖

繁殖は容易で、産卵セットを組めば十分繁殖を狙うことが可能です。

洞窟状の狭くて暗い場所に卵を産む「ケーブスポウナー」であるため、産卵場所になりそうな流木か、100均などで売られている小さな植木鉢を割って産卵場所を用意しておきます。

アピストグラマの繁殖セット(VⅢ)産卵セットの一例。
40cm水槽(カラースリーL)にスポンジフィルター+ソイルで、生みそうな流木+割った植木鉢をセット。

産卵場所があって状態良く飼育できていればそのうち産卵に至りますが、他に魚がいるとストレスで食卵してしまうので基本的にはペアのみを水槽に入れるのが望ましいです。
(ごく少数のオトシンクルス、エビ程度であればそこまで障害になりません。もちろん本当にペアのみにするのがベターですが)

産卵から稚魚浮上まで

暗くて狭い場所に産むため基本的には卵を見ることはできませんが、産卵した場合メスの黄色・オレンジがひときわ強くなり産卵場にこもりっぱなしになるのでそれを目安とします。

保育中のアピストグラマ・ビタエニアータのメスこれはアピストグラマ・ビタエニアータのメスだが、イメージとしてはこんな感じ

産卵後5日頃に稚魚が巣穴から出てきてエサを探し始めるのでそのタイミングで与えられるように予めブラインシュリンプを用意しておきましょう。

稚魚のエサやり回数は朝・晩の2回が最低ラインと思って、できれば1日に何度も与えるようにするのがベターです。

その後しばらくはブラインシュリンプが主食になりますが、成長にあわせて砕いた人工飼料や冷凍アカムシなどを交えていきます。

なおオスは稚魚の保育に関与しないのと保育中は逆にメスから攻撃されがちになるため、可能であればどこかのタイミングで取り出しておくとベターです。

ビタエニアータの若魚たち狭い水槽でオスを放置しておくとメスをいじめて親権を奪う場合もあるので注意
(写真はアピストグラマ・ビタエニアータ)

個人的な所感

フィンスプレッディングをしているアピストグラマ・アガシジィ”マニスワ”

アピストといえば・・・・やっぱりアガシジィですよね。

綺麗なこともそうですがやっぱり品種バリエーションが多いのが大きな人気の1つだと思います。

一度アガシジィの飼育を経験すれば、お店で売られている別タイプのアガシジィを見ると「なにこれ!?これも綺麗じゃん!!」ってなってまたお迎えするようになっちゃいます。

だって同じアガシジィなんだもの、飼ってる経験あるとちょっと違うだけで欲しくなっちゃうんですよね。
中毒性が高いです。

アピストグラマ・アガシジィ

さてアガシジィは入門種とはされていますが個人的にはやや初心者向けとは違うかなと思うのが、オスのメスへのあたりの強さ

45cm水槽とか60cm水槽ならええんですが、30cmキューブとか30cmのM水槽とかで飼育するとメスがオスに虐げられることが見られます。

水面下でちじこまってるメスを見つけさえすれば隔離できるんですが、最悪なのがオスが追い回してメスがそれに逃げ回って水面からジャンプして死ぬっていうこともあるのでちょっと怖いんですよね。

「最近メス見なくなったな?」って流木どけたりすると「いない!!」っていうパターン。こわっ。

2匹のアピストグラマ・アガシジィ”ダブルレッド”日頃から雌雄のパワーバランスは観察しておきたい

アピストの入門種といえばボレリィとかカカトゥオイデスもいますが、そいつらはそこまでメスへのあたりが強くないので、そこがアガシジィはネックかなと思います。

とはいえ水質面は融通きく丈夫なアピストでありますし、「アピスト初めてだけどアガシジィ飼いたい」っていう人はその辺気をつけてあげて飼ってやれば全然問題なく飼育できるでしょう。^ワ^

撮影協力/Aquarium TALL MAN | アクアリウムショップ アクアリウムショップ:トールマン

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犬水ジュン

犬水ジュン

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いろんな生き物で培った実経験を元にアレコレ書いてます。

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