アオミドロ(とろろ状、糸状ゴケ)の原因と対策。食べる生物とか
公開:
更新:
金魚や熱帯魚の水槽で生える糸状ゴケやフサフサしたコケ、とろろ状のコケと呼ばれるのは全てアオミドロと呼ばれるコケになります。
そんなアオミドロについて、増える原因や除去方法および食べる生物などの対策方法を解説していきます。
アオミドロの概要
コケの種類によっては対策方法が変わってきますので、まず初めにアオミドロの特徴から。
アオミドロ自体は1本1本はうねったり巻いたりしている糸状のコケですが、多く集まることによりモッサリとした見た目にもなるタイプのコケです。
その見た目により「糸状ゴケ」や、絡め取るとトロロそっくりなことから「トロロ状ゴケ」とも呼ばれることもありますが、全てアオミドロ。
濃い緑や明るい緑色、はてや茶色などいくつかの色がありますが、形についてもよくウェーブするものやあまりウェーブしないものまであり、1口にアオミドロと言っても複数のタイプが存在します。
よく似たコケとして緑で短くフサフサしたコケ(ガラス面によく付くヤツ)がありますが、これはアオミドロでは無いため混同しないようには注意が必要です。
(アオミドロは1本が長く、ガラスには付きづらい傾向があります。)
その他のコケについてはコチラ:水槽に生えるコケ一覧とその除去・対策方法【総集編】
驚異的な増殖スピード
アオミドロの最も厄介だと言われているポイントは何とっても「増えるスピードが早いこと」。
何か藻のようなものが生えてきたと思ったら、一週間後にはモッサリした塊が出来たりするほどです。
他のコケと比べて手で除去すること自体は簡単なのですが、手で大部分を取ったトコロで持ち前の繁殖スピードですぐに再生。
このため取っても取っても生えてくるコケとして、非常に嫌がられています。
アオミドロが繁茂する原因
アオミドロが繁茂する原因としては「富栄養化」。
簡単に言うと食べ残しやフンなどの栄養源が多く、言わばコケが増殖するための栄養が豊富な状態のこと。
富栄養化になる原因としては例えば以下のようなものが挙げられます。
- 魚の入れすぎ
- エサの与えすぎ
- フィルターの能力不足
- 水換え不足
- フィルターの掃除不足
- 水草用肥料の与えすぎ・・・etc
とはいえアオミドロは栄養レベルがかなり高くないと発生しにくいため、そうなる原因となると限られてきます。
アオミドロが発生する原因として最も多いのが以下の2つでしょう。
- 固形肥料の過剰投与
- 魚に見合ったフィルターを選んでいない
固形肥料の過剰投与
アオミドロが発生する原因としてまず疑うべきは「肥料の過剰投与」です。
水草用の肥料というのはタップリ栄養が含まれていますが、使いきれなかった栄養は全てコケに回ります。
肥料というのは闇雲に投与するものではなく、不足している栄養素を補ってこそ初めて効果があります。
不足した栄養を見極めずに何となく添加する場合はモチロンのこと、成長スイッチの入っていない水草や、二酸化炭素を添加していない場合に投与することもアオミドロの大発生に繋がりやすいでしょう。
魚に見合ったフィルターを選んでいない
「魚の入れ過ぎ」、「エサの与えすぎ」にも関連してくるのですが、生体の排泄量に対してカバーできるような浄化能力を持ったフィルターを使用しないと富栄養化に繋がります。
フンは植物の肥料にも使われるほど栄養が高く、フィルターで浄化しきれない分はアオミドロにとって格好のエサ。
適切なフィルターは魚の数や種類にもよってマチマチですが、フンの量をカバーできるような能力のものを選ぶことが基本。
大きい魚や肉食魚はフンが多いのでそれなりに良いフィルターを用意する必要がありますね。
また、もちろんながらエサはフンよりも栄養が高い(魚が栄養として吸収する以前の栄養源です)ので、食べ残すようなエサの与え方をする場合にも強力なフィルターが必要です。
まず何より富栄養化を解消する
アオミドロの対策・駆除方法は、まずアオミドロの増殖源となっている富栄養化を止めることが第一です。
いくら手で綺麗に取ったところで富栄養化を解消しない限りはすぐに再生するので、意味がありません。
富栄養化になる条件は発生している水槽によって様々ですので、それに合った対処が必要になります。
富栄養化の原因 | 対処 |
---|---|
液肥を投与している | 液肥は止め、大部分換水して吐き出す |
固形肥料を使っている | 砂利を取り出し、肥料を洗い流し、大部分換水して栄養を吐き出す |
水換えが生体・設備に対して少ない | 水換え頻度を上げる |
外部式フィルターに汚れが蓄積 | フィルターの清掃 |
エサを残すぐらい多めに与えている | エサを減らす、または高性能なフィルターの設置 |
生体の入れすぎ(排泄が多すぎ) | 高性能なフィルターの設置、水槽を分ける |
固形肥料、液肥の除去
アオミドロが繁茂する理由として最も多いのが肥料の過剰投与。
肥料を使っている場合はまず使用をやめるのが先決です。
止めただけでは水中の栄養レベルは高いままなので、水槽の4/5など大規模な水換えを行って栄養を吐き出してやります。
特に固形肥料は少しでも残っていると再度富栄養化に繋がってしまうので注意。
大変ですが砂ごと全て洗浄するか、何ならこの機会に取り替えても良いと思います。
コケ取り生物を入れる
富栄養化を解消するのは大事ですが、それを解決しただけでアオミドロがなくなる訳ではありません。
富栄養化を解決することで確実に勢いを止めることができますが、維持するだけの栄養は残っていることが多いためです。
そこでアオミドロを食べるコケ取り生物を入れ、水槽内のアオミドロを除去してもらいましょう。
ヤマトヌマエビ
「ヤマトヌマエビ」は体長5cmほどのエビで水草や流木についた藻類を食べる習性があり、水槽のコケ取りとして定番の生き物です。
アオミドロも好んで食べてくれる藻の1つであり、とても効果があります。
同じヌマエビ科であるミナミヌマエビも食べるといえば食べますが、大きさが2cmほどと小さくコケ除去能力は低い欠点があり、爆食しがちなアオミドロには能力不足です。
(体感10~20倍ぐらいは差がありますし、生えたての藻ばかり食べる傾向がアリ)
入れる匹数についてはアオミドロの量にもよるのですが、60cm水槽なら10~20匹ほど、30cm水槽なら5~7匹ほどが目安。
多く入れればそれだけ早くアオミドロは無くなるので気持ち多めのほうが効果を実感しやすいと思います。
個人的にはヤマトヌマエビが一番オススメだヨ!
関連ヤマトヌマエビの飼育情報。食べるコケや飼育のポイントとか
サイアミーズフライングフォックス
「サイアミーズフライングフォックス」という魚も良くアオミドロを食べてくれやすいコケ取りです。
どちらかというと黒ひげ状ゴケのコケ取りとして定番の魚ではありますが、幅広い藻を食べる生き物でありアオミドロのその1つという訳です。
遊泳し、機動力があるためエビよりも色んな所のコケを食べてくれる傾向があり、ヤマトヌマエビと併用するのもオススメです。
投入匹数はコケの量にもよりますが60cm水槽で3~4匹ほど、30cm水槽で1匹~2匹が目安です。
ただし育つ環境が整えば最大10cmにもなる中型の魚なので、最初に入れすぎると後で困ってしまうことも多く、ヤマトヌマエビと比べ入れ過ぎにはならないようにしましょう。
ただし大きくなるので入れすぎには注意!
関連サイアミーズフライングフォックスの飼育について。食べるコケなど
ブラックモーリー
「ブラックモーリー」は藻・微生物食の強い、いわばエビに近い食性を持ったメダカの仲間です。
なんでも割と食べる悪食として知られ、アオミドロも好んで食べる藻の1つ。
小腹が空いてオヤツを食べる感覚のように時折くちで引っ張りながら食べてくれます。
アオミドロだけじゃなく、他のコケ取りが食べない「藍藻」や水面に浮かぶプランクトンの死骸である「油膜」も食べてくれるので人気のある掃除屋さん。
成長しても5~6cmくらいなので入れやすいのもオススメポイントです。(あと繁殖させやすい)
関連ブラックモーリーの飼育情報。混泳や食べるコケ、オスメスなど
コケ取りを活躍させるためのワンポイント
コケ取りを水槽内に入れる前には、必ずアオミドロを手でとれる分を除去しておきましょう。
コケ取りを入れる上で大事なのは「アオミドロが増える量」に対し、「アオミドロを食べる量」が上回るコトです。
既に多く生えているアオミドロを放置すると「アオミドロが増える量」大きく、コケ取りを入れたところで減らない可能性が高くなってしまいます。
アオミドロを食べるとはいえ小さな生物たちですので1日に食べる量は限度がありますし、その間アオミドロも増え続けます。
最初におおかたアオミドロを手で除去しておくことにより、増殖スピードがガタ落ちするので「食べる量 > 増える量」にしやすくなるというワケなのです。
まずは手で粗方取ってアオミドロの増殖スピードを抑えておくのがポイント!
完全遮光してしまう
コケ取りの他にコケを除去する方法もあります。
それが「完全遮光」です。
藻類は光合成によって活動エネルギーを生み出しており、アオミドロも例外ではありません。
ダンボールや布・新聞紙などを使って数日間完全遮光を続ければ、アオミドロは体を保つことができなくなり減少していきます。
コケ取り生物を入れれない、入れたくない場合は遮光してしまうのがオススメ。
ただし少しでも光が入れば効果が半減しますので、完全に遮光してしまうのがポイントです。
短期間であれば水草は遮光に耐性がある
完全に水草に害が無いワケではありませんが、数日から一週間程度の遮光であればあまり問題にはなりません。
藻類に比べて水草は体力があり、ある程度の遮光に耐えることができます。
遮光後は外観がやや白くなったり見た目が弱々しくなってしまいますが、しばらくすると元に戻ります。
ただし何週間にもわたる遮光は流石に水草でも体力を使い果たして枯れてしまうので、やり過ぎには注意が必要です。
しかも他のコケにも効く万能ワザ!
アオミドロ対処・駆除のまとめ
アオミドロが出る原因としては「富栄養化」に他なりません。
水草を多く繁茂させて栄養を吸収することも効果があるといえばあるのですが、まずは富栄養化原因を解決するすることが重要なポイントです。
富栄養化を解消しない限りは、手で取ったところで、コケ取りを入れたところでいくらでも生えてくるので意味がありません。
特に富栄養化になりやすいのが肥料過多だと思います。
特に固形肥料は効果発動にラグがあることから、効果が無いと思って追加で投入し時限式のコケ爆弾になってしまうことも。
まずは肥料をストップさせ換水、そして設備の見直しをすると良いでしょう。
- アオミドロが繁茂する原因は水中の栄養(汚れ)が多い「富栄養化」
- まず富栄養化になった原因を解消すること
- コケ取りとしてはヤマトヌマエビが効果的
- コケ取りを入れる前には手で可能な限り除去しておく
- 布やダンボールで水槽を囲み、完全に暗くすることでも除去できる
関連記事:水槽に生えるコケ一覧とその除去・対策方法【総集編】
関連カテゴリー:藻・コケ、害虫駆除 記事一覧
シェアしてね!
Sponsored Link
この記事へのコメント