キングロイヤルペコルティアの特徴・飼育情報
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![](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0260t-689x517.jpg)
キングロイヤルペコルティア
難しい
弱酸性 | 中性 | 弱アルカリ |
---|---|---|
○ | ◎ | ◎ |
主な特徴
「キングロイヤルペコルティア」はブラジルのシングー川に棲む黒地肌で白のラインを持つ複数種の類似プレコ、およびそれらプレコのかけ合わせの総称です。
定番のプレコジャンルの1つで、コレクションだけでなく気に入った個体を繁殖させて綺麗な柄を作り出す楽しみもあり、略して「キンペコ」の名前で親しまれています。
野生で採集された個体が「L-066」、「L-399」、「ゴールデンキングロイヤルゼブラ(L-333)」、「ホワイトロイヤルゼブラ(L-333)」などの名前で販売されるほか、飼育下で繁殖されたブリード個体も多く流通します。
![キングロイヤルペコルティア WILD L-66](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0629.jpg)
![メガクラウンゼブラ](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0183a.jpg)
キンペコは色・模様について個体差が激しく、一般的には白の面積が多くコントラストが高いものが質が高いとされます。
野生個体と比べて白地が少し広めのものは「ニューメガクラウンゼブラ」、非常に白地が広いものは「リアルメガクラウンゼブラ」の名前で売られることもあります。
愛好家により多く改良が進められたおかげで、現在ではニューメガクラウン程度であれば安価に入手することができますが、圧倒的に白い個体は10万円以上することも珍しくありません。
![ゴールデンキングロイヤルゼブラ](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0315.jpg)
白地が黄色いタイプ。
![黒が多いがコントラストがハッキリしているキンペコ](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0119.jpg)
白地が少なくてもコントラストが良いと美しい。
![キングロイヤルペコルティアの子供](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0440.jpg)
安い小さな個体が白化けすることもあり、育てる楽しみもある。
大きさはワイルドの場合は15cm程度になりますが、改良が進められたブリード個体の場合は10cm程度で止まることもあり小型の傾向があります。
なお名称にはペコルティアと付きますが、これは分類が進んでいなかった名残でありペコルティア属ではありません。(Hypancistrus:ヒパンキストルス属です)
混泳・性格
遊泳魚に対しては温和で混泳には向いた性格です。ただし産卵に適した場所があるとオス同士が争ってしまうのでこの点は注意します。
温和なプレコの仲間なので泳いでいる魚にちょっかいを出すことは一切ありません。
同種同士の混泳も可能な魚ですが、繁殖に適した場所があると成熟したオス同士が陣取り争いを行うのでこの点は注意します。
特にプレコ用の隠れ家として陶器製の筒が販売されていますが、これをオスが複数匹いる水槽に設置してしまうと片方もしくは両方がボロボロになってしまうことがあります。
![使用には注意が必要なプレコの産卵用筒](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0331a.jpg)
![縄張り争いでボロボロになったプレコ](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/IMG_4916.jpg)
普通に死亡に繋がるため繁殖させないならプレコ筒は避けること。
繁殖させない場合は両方向に出入り口がある「土管」などの隠れ家が事故がなく適しています。
![プレコの隠れ家おとなりさん](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0006.jpg)
エサ
沈下性の人工飼料を夜間に与えます。混泳魚がいる場合は全て食べられないように注意しましょう。
エサは沈下性の人工飼料を食べてくれ、具体的な製品名でいえば「グロウ B~D」、「デルフィスのデルフレッシュフードS~SM」、「コトブキ フライミックス 底魚用小粒」、「ひかりクレストフリーク ペコルテ」などがエサとして適します。
昼間は物陰に隠れて出てきませんので最初は夜間・消灯後にエサを与えてやるのがベターです。
環境と個体の性格によっては昼間でもエサの匂いで前に出てくるようになりますのでその場合は昼間のエサやりでも構いません。
なお柔らかい茶ゴケですらほとんど食べませんのでコケ取りとしての能力はありません。
混泳魚がいる場合はエサにありつけているか要観察
![物陰に隠れるキンペコ](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0004.jpg)
プレコは基本的にエサの匂いがしてもビビッて前に出てこない傾向があります。
そのビビっている間に混泳魚にエサが食べ尽くされてしまいやすのでお腹が痩せていないかは必ず観察することが重要です。
基本的に混泳水槽でキンペコ達にエサを十分与えようとすると他魚は丸々と太りますが、この点は諦めましょう。
飼育ポイント・注意点
丈夫な熱帯魚と比べるとやや難しいレベルです。水質適応範囲は広いのですが、水質変化や濾過不足には弱いので注意しましょう。
エサは大量の藻類を必要とせず、むしろ人工飼料でよく育つことから水槽で飼育するのには非常に適したプレコです。
ただ水質変化に敏感で、フィルターが十分機能していないとあっさり調子を崩すため入門熱帯魚と比べると丁寧な飼育が求められます。
飼育しやすいプレコとはいっても、セルフィンプレコなどの強健なプレコには遠く及ばないので飼育には注意が必要です。
水質について
![pHテスター](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/04/DSC_0172.jpg)
飼育自体はpH5.5~pH8.0と広い範囲で適応するので日本の水道水であれば水質自体はOKです。
ただし水質変化には弱く、適正範囲内であっても短期間で大きく水質が変わると調子を崩してしまうので注意が必要です。
水質安定化のためには丁寧な水合わせはもちろんのこと、水槽も45cm以上ある方が安定します。
専用水槽が好まれる
![プレコ専用水槽](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0003.jpg)
他の魚と混泳するとエサが十分行き渡らなかったり、混泳魚が肥満化してしまうため可能であれば専用水槽が適します。
エサの管理が非常にしやすくなるほか、ディフェザーで水流を強化することにより本来の生息地に近づけたり、複数匹いても健康状態が確認しやすいメリットがあります。
繁殖も行いやすくなりますため、本格的にキンペコ飼育に望むのであれば是非とも専用水槽がオススメです。
繁殖
繁殖は容易なプレコで、産卵に適した場所があれば繁殖を狙うことができます。
キンペコは岩の隙間や窪みなど奥がすぼまった場所に産卵を行いますが、プレコ用に売られている産卵筒を設置すれば簡単に産卵場を用意することができます。
![キンペコ繁殖水槽](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0011.jpg)
オスが気に入るとその場所に住み着いてメスを待つようになり、メスがオスと場所を気に入ると筒内で産卵が行われます。
産卵から稚魚まで
![卵を守るオスのキンペコ](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0012.jpg)
産卵後はオスのみが卵を守ります。
産卵から孵化までは4~5日ほどですが、孵化した稚魚はヨークサックが非常に大きく孵化後15~20日程は引き続き筒内でオスに守られます。
何事もなければ孵化から20日ぐらいから筒から出てきます。
稚魚の育成
![隔離ケースに入れられたキンペコの稚魚たち](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/IMG_7523.jpg)
産卵筒から放たれた稚魚は隔離ケースなどに回収して世話を行います。
初期エサとしてはブラインシュリンプ、クロレラなどが適します。
![ブラインを食べるキンペコの稚魚](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/IMG_7531.jpg)
成長とともに砕いた人工飼料や刻んだ冷凍アカムシなどを与えていくようにしましょう。
![成長したキンペコの稚魚たち](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0333.jpg)
個人的な所感
![複数のキンペコたち](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0244.jpg)
気に入った柄の個体をコレクションするだけでなく、気に入った個体を繁殖させ自分だけのキンペコを作れるというグッピーやベタのような楽しみ方ができるプレコがキンペコです。
一般的に売られている熱帯魚はワイルドか東南アジア養殖ものが基本なのですが、日本で販売されているキンペコは国内のブリーダーが繁殖させたものが大半という恐ろしいジャンル。
こんな国内CBばかりのジャンルはほかにグッピーぐらいしか僕は存じ上げません。(ベタですらほとんどタイ輸入ですし)
私は当初「キンペコが面白いらしい。プレコやったことないしやってみようかな」というフワっとした状態で始めたのですが、入って遊んでみるとこれが確かに面白いジャンルで、今では専用水槽を複数本立ち上げるレベルになりました。
ポテンシャルが分からない小さな個体を「白地が増えそう」とか育ててみるのも面白いのですが、繁殖させて柄が色々出るというのはやはりワクワクしますね。
![ヨークサックが吸収しきりそうなキンペコの稚魚](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0549.jpg)
キンペコでは親の血統も重視されており、一見ショボい模様でも良い血統であれば次世代に多く白化けしたリアルメガクラウンが生まれやすかったりするため、良い血統同士の組み合わせはもちろんのこと気に入った個体に良い血統を当てたりする楽しみ方があります。
私も新しいキンペコが入荷する度に「今回のはヤバイぞ・・!!」だとか「この血統同士で子供取ったら面白いんじゃないか?」とか楽しんでおります。
![ウィルライン・ドイツL-236のドイツ血統](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0324.jpg)
インペリアルゼブラプレコの下位互換と侮るなかれ
「キンペコってインペの劣化でしょ?インペの方が綺麗じゃん」と言われることもありますが、実際にはインペよりもキンペコの方が圧倒的に親しまれています。
繁殖しても同じ模様しか生まれないインペに対し、様々な色・模様が生まれてより良い個体を産み出す楽しみがキンペコならでは。
とはいえ同じヒパンキストルス属ですしインペリアルゼブラプレコよりも容易に飼育・繁殖ができるので、高価なインペを飼うまでのステップとしてもオススメできます。
ただしそのままハマる人が続出すること間違いなし!です^ワ^。
![キングロイヤルペコルティアとインペリアルゼブラプレコのハイブリッドだと思われるプレコ](https://www.aquahermit.com/wp-content/uploads/2022/11/DSC_0254.jpg)
ちなみにキンペコはインペを取り込んでより白地の発色が良くなるようにしたヤツとかもいます。上の写真はインペの血を取り込んだものです(スーパーインペVar)。
ぅーんこれからもまだまだキンペコは綺麗になりそうですね。
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