プロテインスキマーとは?メリット・使い方やオススメ製品など【海水】

マリンアクアならではの飼育設備であるプロテインスキマー。

その仕組みや設置することによるメリット、設置の必要性、プロテインスキマーの種類とその特徴などを解説。

また人気・定番のおすすめプロテインスキマーも紹介します。

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プロテインスキマーとは

サンプに設置されたプロテインスキマー

英語でprotein(タンパク質)skimmer(除去装置)と呼び、その名の通りフンや食べ残しなどの有機物を除去する装置です。

仕組みとしては筒状の容器内で微細な泡を大量に生成させることで、ゴミやフン類を容器上方へと押し出し水中からの排除を行います。

ベンチュリー式プロテインスキマーの構造図

プロテインスキマーに入った飼育水のうちフン・ゴミ類は泡の力で上へ上と押し出され、排出口からはきれいな水が排出されるのです。

RLSSのプロテインスキマーに溜まる汚れプロテインスキマーで取れたゴミ・フン

ちなみにプロテインスキマーは略して「スキマー」と呼ばれることも多いです。

プロテインスキマーのメリット

サンプに入れられたRLSSのプロテインスキマー強力なサンプ設置式のプロテインスキマー

プロテインスキマーの最大のメリットが「ゴミ・フン」を生物ろ過を介さずに除去が可能な点です。

一般的に濾過といえばバクテリアが水を浄化する「生物ろ過」で、これは「フィルター」によって行われています。

生物ろ過・フィルターはフン・ゴミが変化する強力な毒素「アンモニア」を、最終的に「硝酸塩」という非常に毒素が低いものに変換する濾過方式ですが、低毒素化する止まりで汚れを完全に除去するものではありません。(汚れを抑えるイメージ)

フンから硝酸塩までの図

そのためどれだけ性能の良いフィルターを設置しても、硝酸塩が多く蓄積すれば水換えを行って硝酸塩濃度を薄める必要があります。

硝酸塩が多い時の害

これに対しプロテインスキマーの浄化はフンやゴミの段階で除去しますので、硝酸塩の蓄積が行われず非常に簡潔で優れた濾過方式と言えます。

プロテインスキマーによるフンから硝酸までの図

換水頻度の減少

水換え用品

フィルターによる生物ろ過では絶対的に水換えが必要ですが、プロテインスキマーをメインの濾過方式とすれば水換え回数が大幅に減ります。

例えば2週間に一度換水を行っている場合、1~2ヶ月に1回や半年~1年に1回の水換えでも良くなるぐらいの効果をもたらします。
(プロテインスキマーの性能と魚の排泄量による)

特に海水水槽においての水換えは「人工海水をバケツに溶かす」「溶けきるまで待つ」「比重を合わせる」といった手間があり、淡水水槽の水換えと比べると非常に大変であるため、プロテインスキマーによる水換え回数の低減は大きなメリットです。

また水換えに使用する人工海水も大幅に減るため、人工海水によるランニングコストもグッと抑えるメリットもあります。

特に大きい水槽ほど水換えの手間が大きく、人工海水を使う量も多いのでプロテインスキマーは是非とも設置したいところです。

人工海水使用する人工海水を減らせるメリットも

水を”非常に”綺麗に保ちやすい

ツツマルハナサンゴ

プロテインスキマーをメインのろ過方式とすると硝酸塩自体がほとんど溜まりません。

硝酸塩というのは言い換えれば水がどれだけ汚れているかでありますが、つまりプロテインスキマーを使えば水がほぼ汚れないというメリットがあります。

水が汚れていないことは生体の健康・長寿命に作用し、特に水の汚れをほとんど許さないサンゴ飼育においては非常に有用なアイテムです。

生体の数が増やせる

群れで泳ぐデバスズメダイ

水が汚れなくなるということは生体の数を増やせるメリットもあります。

フィルターによる生物ろ過方式では生体の数を2倍にした場合、それまでと同レベルの水の綺麗さを保とうとすると水換え回数も倍にする必要があり非常に大変です。

しかしプロテインスキマーを設置すれば魚の数を増やしたのに同じ水換え頻度でも同レベルの水質を維持できたり、強力なプロテインスキマーであれば水換え回数を減らしつつ生体の数を増やせるといったことも可能になります。

溶存酸素量が増える

RLSSのプロテインスキマーが生成する泡

プロテインスキマーは大量の泡を生成するため強力なエアーレーション効果があります。

単にエアーポンプによるブクブクを設置するよりはるかに効果的で、飛沫なども飛び散らないので地味ながらも大きなメリットの1つです。

  • 換水回数を減らせる
  • 水を綺麗なまま保ちやすい
  • 魚の数を多く増やせる
  • 溶存酸素量を増やせる

プロテインスキマーの必要性

カクレクマノミ

特に以下のような用途の場合はプロテインスキマーが必須レベルの機器となります。

魚と共にサンゴを飼育する

トランペットコーラルとカクレクマノミ

サンゴやイソギンチャクの飼育には汚れである硝酸塩がほとんど検出されないほど綺麗な水が求められます。

魚を飼育している場合、フィルターによる生物ろ過ではどうしても硝酸塩が出てしまう浄化方式になりますのでサンゴを飼育することが困難です。

しかしプロテインスキマーを設置すれば硝酸塩レベルをほとんど検出されないレベルに持っていくことが出来るため、魚とサンゴの飼育を両立させることが可能になります。

綺麗なサンゴ礁と魚の泳ぐ姿を目指すにはプロテインスキマーは必須と言っても良いでしょう。

サンゴと両立する場合はプロテインスキマーの能力が魚を入れれる数になりますので、特に強力なプロテインスキマーが好まれて使われていマス。
ロボうぱ

水換え無しシステムの実現

魚がそれなりにいるのに水換えを行わない水槽を実現するためにもプロテインスキマーは必須級となります。

水換え無しシステムは脱窒菌により硝酸塩の窒素変換を行うことで実現しますが、硝酸塩を変換できる量はとても少ないためプロテインスキマー無しだと「広い水槽に小さな魚が1匹」というショボい感じになります。

プロテインスキマーを設置すれば大幅に硝酸塩が少なくなりますので、多く魚を入れても水換えナシという水槽も可能になるわけです。

45cmキューブ海水水槽これは私が管理する海水水槽の1つですが、強力なプロテインスキマーを使用することで基本的な水換えは行わずに維持が出来ております。
(ミラクルマッド+プロテインスキマー構成)

プロテインスキマーの種類

RLSSのプロテインスキマーのダストカップ部

プロテインスキマーにはウッドストーンにより泡を生成する「エアーリフト式」と、強力なポンプで泡を生成する「ベンチュリー式」、海水を叩きつけることで泡を生成する「ダウンドラフト式」のタイプに分けることができます。

ダウンドラフト式は比較的大型で個人の水槽では使われることはまずありませんので、一般的に使われている「エアーリフト式」と「ベンチュリー式」を解説します。

エアーリフト式

エアーリフト式プロテインスキマーの構造図

エアーリフト式はウッドストーンによるブクブクで泡を生成するタイプのプロテインスキマーです。

筒状の容器とウッドストーン及びエアーポンプのみの簡単な構造のため、小型なタイプも多く初めてのプロテインスキマーに選ばれやすいタイプになります。

エアーリフト式プロテインスキマーの設置例(左奥)左奥に見える筒状の装置がエアーリフト式プロテインスキマー

メリット

簡素な構造とエアーポンプという安価な動力のため、値段が安いという特徴があります。

また小さなタイプもあり、小型水槽にも設置しやすいメリットもあります。

デメリット

デメリットとして構造的に水の循環量が少なく、プロテインスキマーとしての能力には限界があり浄化能力は低めであることです。

人によってはエアーレーションのみと割り切る人もいるほど低く、どうしてもフィルターのサブとしての運用になりがちです。

またウッドストーンは劣化するため定期的に取り換えるメンテナンスがあるのもデメリットです。

交換周期は2週間~1ヶ月程度ですが、交換を怠ると微細な泡がでなくなってしまいプロテインスキマーとして機能しなくなるので気をつけましょう。

メリット 安い。
小型水槽向けの小さなタイプもある。
デメリット 浄化能力が低く、メインの浄化装置としては向かない。
ウッドストーンを定期的に取り変える必要がある。

エアリフト式の製品

エアリフト式プロテインスキマーの具体的な製品といえば「マメデザイン マメスキマー」や、フィルターとドッキングした「カミハタ 海道達磨」が代表的です。

ベンチュリー式

ベンチュリー式プロテインスキマーの構造図

ベンチュリー式は強力な水中ポンプに空気を噛ませることで泡を生成するタイプのプロテインスキマーです。

オーバーフロー水槽のサンプに設置するような強力な大型製品が多いのですが、最近では外掛けで使える手頃なベンチュリー式プロテインスキマーも登場しました。

サンプに入れられたRLSSのプロテインスキマー

メリット

ポンプで水が循環するため強力な浄化能力を発揮することができます。

エアリフト式と比べると圧倒的な浄化能力なのはベンチュリー式ならではで、プロテインスキマーをメインの浄化装置にするなら基本的にベンチュリー式になります。

デメリット

強力なポンプが必要なためエアリフト式と比べるとかなり値が張ります

またポンプをベースとするため販売されている製品がオーバーフロー水槽のサンプに設置するような大型のものばかりで、小さな水槽に設置できる製品は少ないのもデメリットと言えるでしょう。

メリット エアーリフト式とは比べ物にならない高い浄化能力。
デメリット エアリフト式と比べるとかなり高い。
ポンプがあるため大型水槽向けのものが大半で、小型水槽に使える製品は少ない。

ベンチュリー式の製品

プロテインスキマーは海外が先行しているためサンプに入れるようなTHE ベンチュリー式といったタイプは「OCTO」「ORCA」「RLSS」などの海外メーカーのシェアが多い印象ですが、国内メーカーからも「ゼンスイ Genesis」といった製品も登場しています。

近年では国内メーカーより小型水槽にも設置可能なベンチュリー式プロテインスキマーも販売されるようになり、例えば「カミハタ 海道達磨」は代表的な外掛けベンチュリー式プロテインスキマーです。

プロテインスキマーの使い方・メンテナンス

海道達磨のダストカップに溜まった汚れダストカップ

プロテインスキマーのメンテナンスは上部のダストカップにゴミが溜まり次第、カップの汚水を捨てます。

加えてのメンテナンスポイントとなるの筒内部の清掃です。

泡立ち部分の筒内部が汚れているとダストカップへ排出できる能力が下がってしまい、浄化能力の低減だけではなくゴミが落ちて水槽内に戻ってしまうので定期的に清掃を行いましょう。

特に水槽内部に設置するようなタイプは藻・コケが生えてしまいやすいため、この場合はメラミンスポンジなどを使ってしっかり清掃を行います。

プロテインスキマー本体内部に溜まった汚れ放置しておくと筒部分ばかり貯まる
プロテインスキマー本体内部をティッシュで拭いてとれた大量の汚れティッシュ等で清掃を行う

エアリフト式はウッドストーンの定期交換が必要

エアリフト式のプロテインスキマーは泡を生成するウッドストーンが時間経過で詰まってしまい、微細な泡を生成できなくなってきます

大粒の泡になればなるほど浄化性能は低下してしまうためウッドストーンの定期交換が必須です。

製品にもよりますが目安としては2週間ほどでの交換が1つの目安です。
(早いもので1週間、持って1ヶ月ぐらい)

エアーリフト式プロテインスキマーのウッドストーン部分泡の粒が大きくなってきたかな?と思ったらかなり性能は落ちてしまっている。

放置しておくプロテインスキマーの能力がほぼゼロになり、設置している意味がなくなるのでかならず定期交換を行いましょう。

カッターで詰まった部分を削る方法も

小さなテクニックですが、詰まったウッドストーンはカッターなどで表面を削ると詰まっていない新鮮な部分がでてきます。

カッターで切ることにより数回の再利用は可能なので、節約したい場合は試してみましょう。
(ただしすぐに詰まってしまうので取り替えた方が楽ではあります)

マメスキマー3付属のウッドストーン

ウェーブポンプとの併用が好ましい

ウェーブポンプ

プロテインスキマーはウェーブポンプとの併用が強く推奨されます。

そもそも水流が無いとゴミやフンは床に沈殿してしまい、どれだけ強力なプロテインスキマーを設置していても処理させることができません。

ウェーブポンプは強力にかつ製品によってはランダムに水流を発生させることができるため、床面の沈殿物を舞い上がらせプロテインスキマーに処理させることができるようになります。

そのためなるだけ沈殿物が無くなるようにウェーブポンプを1個~複数設置するようにしましょう。

フィルターによる水流がある場合でもウェーブポンプ無しでは沈殿する余地がかなりありますため、なんらかのウェーブポンプは設置した方が良いです。
(そもそもウェーブポンプは複数設置するのが望ましいぐらいなので)

45cm海水水槽レイアウトこの水槽には左奥に1個、右奥の影に間欠運転ができるものを1個設置して水をグイグイ回し、プロテインスキマーの性能を引き出している。(オーバーフロー水槽のポンプを合わせると合計3個の水流源)

オススメのプロテインスキマー

プロテインスキマーはエアリフト式よりもベンチュリー式タイプのものが圧倒的にオススメです。

エアリフト式は安いのは良いのですが、浄化能力が非常に低く費用対効果が悪いです。

しかもエアリフト式はウッドストーンの定期交換を必要とし、それが500円ぐらいして2週間ほどで取り替えなので意外にランニングコストがかかり、数年以上使うなら絶対ベンチュリー式がオススメです。

ベンチュリー式の代表的な定番製品を紹介します。

カミハタ 海道達磨

カミハタ 海道達磨(かいどうだるま)

カミハタの「海道達磨」は外掛け式でも使用できるベンチュリー式スキマーです。

ベンチュリー式といえばオーバーフロー水槽のサンプに設置するような大型製品ばかりですが、このスキマーは水槽の外に外掛けすることができるためオーバーフロー水槽じゃない水槽にも設置が可能になっています。

1つの目安ですが45cmキューブ水槽のオーバーフロー水槽に設置するような大型プロテインスキマーの消費電力がおよそ20~30W程度なのに対し、海道達磨は21W(50Hz)とそれなりにパワフルなので浄化性能は非常に高いです。
(反面デカいという弱点もあります)

外掛けユニットから取り出してサンプに設置できるようにもなっているほどで、後々オーバーフロー水槽へスペックアップする場合にも無駄になりにくいメリットがあります。

注意点として設置には水槽高さが35cm以上必要なため、30cmキューブ水槽や45cmレギュラー水槽には設置できないことは注意しましょう。

ガラス水槽にセットされたプロテインスキマー外掛け式フィルターのように使用できる珍しいスキマー。
サンプに入れられた海道達磨

外掛けユニットを外してサンプに設置可能。

ゼンスイ エクスターナルナノスキマー QQ1

外掛式プロテインスキマー QQ1(キューキューワン)

海道達磨と並んで人気なのがゼンスイの「エクスターナルナノスキマー QQ1」です。

ベンチュリー式プロテインスキマーで海道達磨と同じ外掛け式で使用することができるため、オーバーフロー水槽じゃなくても設置が行なえます。

海道達磨と似た製品とも言えますが、こちらの方が小さく高さが30cmの小型水槽でも設置が可能なのはあちらには無い強みです。
(海道達磨が高さ50cmほどに対しこちらは高さ30cmほどとコンパクト)

また上位モデルである「QQ3」というモデルもあり、魚を多く飼育したい場合はそちらもオススメです。

ORCA スキマーミニットⅡ DX

ORCA(オルカ)の「スキマーミニット2 DX」は水槽の内側に掛けて設置できるタイプのスキマーです。

エアリフト式プロテインスキマーからウッドストーン部分をそのままポンプに置き換えたようなシンプルな構成で、2022年に登場した新製品になります。

設置できれば「海道達磨」「QQ1」が浄化能力が高くてオススメなのですが、見た目が気になったり設置場所の都合で難しい場合はこちらを検討してみると良いでしょう。
(ちなみに海道達磨のモーターが22Wのパワーに対し、ミニット2 DXは2.8Wと控えめ)

ゼンスイ Genesis

ゼンスイ Genesis DC900

ベンチュリー式プロテインスキマーといえばやはりオーバーフロー水槽のサンプに入れるタイプのものが主力で、オーバーフロー水槽であれば是非ともサンプ設置型のベンチュリー式プロテインスキマーを設置したいところです。

マリンアクアの業界としては海外が先行しているためサンプ設置型のプロテインスキマーは海外メーカー品がほとんどなのですが、国内メーカーである「ゼンスイ」がリリースしているプロテインスキマーが「Genesis」シリーズになります。

海外製品とくらべて修理・保証の面は力強く、「分かりづらい海外製品ばかりでどれが良いか分からない」といった場合は国内品である「Genesis」を検討してみると良いでしょう。

ゼンスイ Genesis DC900

よくある質問

淡水では使われないのでしょうか?

淡水だと本来の性能を発揮できないため、使われることはありません。

プロテインスキマーはとても有用な設備でありますが、淡水では性能がほとんど落ちてしまうため使用されることはありません。

淡水で性能が落ちる理由は微細な泡が生成できないためです。

同じエアーストーンでも海水だと微細な泡が出るのに対し、淡水だと大粒の泡となってしまいフン・ゴミを上部へ押し出すことが出来ないのです。

エアーレーション淡水でのエアーレーション
エアーリフト式プロテインスキマーのウッドストーン部分海水でのエアーレーション
粒の細かさが全く違う

このため淡水ではプロテインスキマーを設置してもほとんど効果が無く、使われることはありません。

プールだと水を空気と混ぜても「ジャバジャバ」っていう感じですが、海水浴とかで海水を泡立てると「ジョワー」という感じで細かい泡になりマス。
ロボうぱ

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犬水ジュン

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