海水魚の白点病の原因と治療、発生させない環境作りについて

白点病は海水魚に最もかかりやすい病気です。

悪化すると体力を奪われ続け死に至ることもある病気です。

そんな白点病の原因、治療、正しい予防方法などを解説します。

目次




白点病とは

軽度の白点病のカクレクマノミ軽度の白点病

白点病とは「海水魚の体に白い点のようなものが現れる症状」の病気です。

白い点に見えるものは寄生虫であり、白点寄生虫が引き起こしています。

初期はヒレから付きやすく、海水魚表面にとりついて体表から栄養分を吸収し海水魚の体力を奪います

放置すると白点寄生虫がどんどん増えていき、どんどん魚が衰弱してしまうのです。

特にフグやハギ類が発症しやすい病気です。

白点寄生虫のサイクル

ヒレを広げるキイロハギ

目に見えるサイズのものは成体でしばらくすると繁殖のため海水魚から離れます。

離れた白点寄生虫は卵を水中にばら撒き一生を終えます。

卵から孵化した幼体は水中を漂って魚の体表に取り付いて栄養を摂取します。

孵化」→「空中を漂って宿主を探す」→「魚にとりつく」→「栄養を吸収して成長」→「親になったら離れて卵を撒く

このライフサイクルは1日~数日ほどと短く短期間で蔓延する可能性があります。

白点病の治療

施術用の包帯

病気というと薬での治療がまず最初に思い浮かびますが、水槽環境の改善をオススメします。

仮に隔離して薬で直したとしても、白点病寄生虫は水槽内にいるため治癒後の再発がしやすいためです。

白点病の初期であれば自然治癒しますので、水槽内の環境を良くし白点病にならない環境作りがとても重要になります。

あとは市販されている薬は淡水魚用のものがほとんどで、そもそも海水魚用の薬は売ってない、というところも多く入手はややむずかしめ。
(通販も薬剤師などの資格者がいないと売れなくなってきて取扱が少ないです)

薬は効果的に使えば良いのですが魚への負担も大きいので、環境改善で改善できるレベルなら使わないほうがオススメです。

水温による治療は意味がない

32.3度をさす水温計魚の体力も奪われる

白点寄生虫は高水温に弱いため30度をしばらく維持することで治療ができると言われますが、それは淡水の場合です

海水における白点寄生虫と淡水における白点寄生虫は別モノで、海水の場合は高水温でも白点病は減衰しません。

そのため高水温で治療はできませんので注意しましょう。
(むしろ魚やサンゴを弱らせてしまう)

殺菌灯を設置する

殺菌灯

白点病の治療のポイントは水槽内に浮遊している白点寄生虫を減らすことです。

先述したとおり白点寄生虫のライフサイクルは短く白点寄生虫が目視で確認できる場合、水中に小虫が漂っています。
隔離して銅イオンや薬による治療を行っても再度水槽に戻せばまた発症します。

よって水槽内の寄生虫を減らすのがポイントになりますが、殺菌灯を設置することにより水槽内の小虫を滅殺することができるのでとても効果的です。

白点寄生虫のライフサイクルは長くても数日なので、数日もすれば効果を実感できます。

白点病を発生させない環境作り

ゴマハギ

病気は疾患のたびに治療してやるのではなく、そもそも病気を出さないような環境づくりが大事です。

殺菌灯の常設

複数の硬貨

殺菌灯を設置すれば水槽にいる白点寄生虫の数を抑えられるため常設しても良いでしょう。

例えばカミハタの殺菌灯「ターボツイスト Z 9W(300Lまで)」はメーカー公称で8000時間使用可能です。

24時間稼働で約1年(333日)使え、交換球はメーカー希望小売で4000円です。
2017年11月現在2000円で売っているところもありました。

電気代は9Wなので1ヶ月約170円かかります。
※1kWh26円で計算 ※駆動に使うポンプは計算していません。

そこまでのコストが許せるなら常設するのも良いでしょう。

殺菌灯はコケの予防や殺菌により有機物を分解して汚れを抑える効果もありますので中々良いのではないでしょうか。


上記商品は駆動に別途ポンプまたは外部式フィルターが必要です。

関連海水水槽の殺菌灯とは?効果と必要性、選び方などを解説

水流ポンプの設置

ウェーブポンプ

水の流れのない「淀み」と呼ばれる箇所は汚れとともにそれを養分として白点寄生虫が溜まりやすくなっています

特にレイアウトの変更直後や水換え後に汚れが舞って白点病にかかった場合は、淀みの白点寄生虫をバラまいてしまったことが原因です。

水流ポンプを設置して淀みをなくすようにすることで水槽内の白点寄生虫の数をかなり抑えることができます。

また外部式フィルターを設置している場合はフィルター内も汚れが溜まりやすくなりますので、定期的な清掃またはいっそのこと外部式フィルターを取っ払うのも効果的です。

加えて殺菌灯を利用する場合でも水槽内の「淀み」は殺菌灯にいきませんので、殺菌灯による殺菌が十分に行えないケースも。
(淀みは水流が止まっていて水が流れず、殺菌灯にいかないため)

水流ポンプで淀みを無くすことにより殺菌灯のパワーをフルに活用することができるようになりますね。

水量の多い水槽にする

30cm海水水槽小型水槽は病気にかかりやすい

そもそも白点寄生虫はどこにでも自然にいるレベルで、海水魚は常に寄生のリスクに晒されています。

にも関わらず白点病にならないのは体力のある健康的な海水魚は寄生虫にかかりにくいためです。

白点病寄生虫は弱った海水魚にとりつきやすく白点病にかかったということは何らかの要因で体力が下がって寄生されたということです

正しい環境で飼育していれば一時体力が落ちて白点病になったとしてもすぐに復帰するため自然治癒します。

自然治癒しないのはそもそも飼育環境が悪く、常に海水魚に負担をかけていることに他なりません。

水温変化により体温が奪われる

28.2度を示す水槽用クーラー付属の水温計

最も海水魚に負担をかける要因が水温の変動です。

水温が変動すると体力が奪われてしまいあらゆる病気にかかりやすくなります。

小さな水槽では昼と夜の温度差により海水魚に大きなダメージを与えてしまっています。

そのため大きな水槽にすることで温度変化が起きなくなり白点病のみならずあらゆる病気にかからなくなります。

水槽サイズが45cm以上あればかかりにくくなり、60cm水槽であればほとんど病気にかかりにくくなります

ヨウ素の添加

ヨウ素添加剤

ヨウ素は殺菌作用があるため添加することで、白点寄生虫の繁殖を抑える効果があります。

殺菌灯と比べ効果は低いのですがサンゴや魚への栄養補給の一環として添加すると良いでしょう。

使用の際はヨウ素濃度測定キットを用いて濃度が高すぎてしまわないように添加量を調節して下さい。

まとめ、個人的な所感

軽度の白点病のカクレクマノミ白点病の治療・対策について箇条書きにまとめます。

  • 白点病は水中に漂う白点寄生虫が体に寄生して体力が奪われる病気
  • 体から白点寄生虫を取り除くだけではまたすぐに寄生されるので意味が無い
  • 殺菌灯を設置すると水槽内の寄生虫を滅殺でき、数日で治癒していく
  • 正しい環境で飼っていれば自然治癒するが、自然治癒しない場合はそもそもの環境が悪いということ

海水魚における白点病は簡単に言うと「風邪」です。

正しい環境で飼っていれば風邪にすらなりませんし、ひいたとしてもしばらくすると自然治癒します。

自然治癒しないということは海水魚に何らかの負担をかけて体力を奪っているほかありません。

白点病が自然治癒しない場合は治療もそうですが飼育環境を見直すことがとても重要です。

関連記事:病気が出ない海水水槽を作るための4つのポイント

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この記事へのコメント

  • 1通りすがりのアクア2023年2月5日 20:10

    キンギョハナダイがすぐに砂についてしまいますそれで白点病になってしまいました。
    どうすればいいですか。

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