海水水槽のスタンダード!ベルリン式システムとは!?

海水魚水槽のシステムにはベルリン式が広く普及しています。ベルリン式システムは淡水水槽の濾過システムとは一線を画しており、気難しいサンゴの育成に適しています。

ベルリン式システムの仕組みやメリット、デメリットを解説します。

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ベルリン式システムとは?

ベルリン式システムは基本的にプロテインスキマーとライブロックのみで濾過を行うシステムです。一般の海水水槽と大きく異なるポイントは濾材を入れず強制濾過は行いません

濾過はプロテインスキマーとライブロックが担っています。そのためその両者が重要なシステムになっています。

プロテインスキマーによる濾過

サンプに入れられたRLSSのプロテインスキマー

プロテインスキマーは強力なエアーレーションを行い微細な泡を発生させ、泡と共にゴミを吐き出す濾過装置です。

これにより魚のフンや食べ残し等をアンモニアなどの有害物質に変わる前に取り除くことが出来ます。

そのため強力なプロテインスキマーを設置することで生物濾過に頼らないことが理論上可能です。ベルリン式システムはこのプロテインスキマーをメインに据えたシステムだとも言えます。

ライブロックによる濾過

立ち上げ中の45cmキューブ水槽

濾材を入れないからといって生物濾過を行わないわけではありません。強力なプロテインスキマーを設置しても100%の水を循環させることは出来ません。どうしてもある程度は取り残しが出てしまいます。

ライブロックは多気孔構造になっているためバクテリアの良い住処となっています。アンモニアを比較的毒性のない硝酸に変える好気性バクテリアは勿論のことライブロックの奥には硝酸を無害化する嫌気性バクテリアが棲めるような環境になっており、ライブロックで硝化(アンモニア→亜硝酸→硝酸)、脱窒(硝酸→窒素)を行います

メリット

ナガレハナサンゴの攻撃用スイーパー

プロテインスキマーによりゴミやフンなどを有害物質に変わる前に取り除くため、硝酸の蓄積がしにくいシステムになっています。さらに取り除かれなかったものはライブロックにより無害化されますので出来上がったシステムでは硝酸自体もほぼ無くなります。

そのため硝酸を取り除くための換水が不要になり、管理が非常に楽になります。

加えて微量な硝酸すら許されない気難しいサンゴを育成することが可能になります。

デメリット

良いことづくめのベルリン式システムですが勿論デメリットもあります。

水槽に入れれる魚の数が少ない

カクレクマノミ

プロテインスキマーに濾過を依存しているためプロテインスキマーの能力以上に魚を入れることが出来ません。

強制濾過と換水で維持するシステムと比べると入れる魚は抑える必要があります。機材にもよりますが3~5倍ぐらいは収容可能な生体の数に差があります。

許容量を超えて魚を入れてしまうとプロテインスキマーやライブロックではカバーできなくなり、システムが維持できなくなります。

敷居が高い

オーバーフローのサンプ水槽

ベルリン式システムはプロテインスキマーが重要なシステムなため、強力なプロテインスキマーが必要になります。

強力なプロテインスキマーはサンプ水槽を必要としますので、設置にはオーバーフロー水槽であることが求められます。

オーバーフロー水槽は水槽台と合わせて高価な水槽になりますので他の水槽システムと比べると非常に敷居が高くなっています。オーバーフロー水槽を自作されている方もいますがその分労力がかかり敷居は高いままです。

水槽の立ち上げに時間がかかる

立ち上げ中のライブロック

買ったばかりのライブロックは新しい環境のため元々ライブロックにあったバクテリアや小さな生物たちは少なからず死んでしまいます。しばらくすると環境に適応したバクテリアや小さな生物たちが繁茂しますが、環境に適応するまでの間はライブロック自ら水を汚す要因となっています。

強制濾過を利用したシステムであれば立ち上げ時のアンモニアや亜硝酸を早い段階で取り除くことができますが、ライブロックが馴染んで生物濾過が稼働するようになるまでは長い期間が必要です。

立ち上がるまでの目安は2,3ヵ月程です。

しかしながら硝酸の溜まらないベルリン式システムは換水もほぼ必要無い上に、気難しいサンゴにも適していて、デメリットを覆すメリットがあります。

ベルリン式システム維持のための抑えるべきポイント

最後にベルリン式システムを立ち上げ、維持する上での重要なポイントをお教えします。

水質の状態を測定すること

硝酸塩濃度測定キット

定期的に硝酸を測定して水槽の状態を把握することが重要です。

特に立ち上げ時の水質は不安定なため、検査薬を用いて測定を行うことで魚やサンゴが入れれる状態になっているかを確認することが出来ます。立ち上がりには硝酸に加えてアンモニア、亜硝酸の測定も必要です。

検査薬は高いため躊躇しがちですが使用できる回数を考えると感じているより高くありません。必要経費だと思って揃えて下さい。

魚を入れすぎないように注意すること

カクレクマノミとスターポリプ

ベルリン式システムが立ち上がりだすと魚を入れても良い状態になりますが、現在の水槽状態の許容量を超えないことが重要です。

立ち上がりきるまではバクテリアが本調子でないため、特に立ち上がり中は通常より魚の数を抑える必要があります。立ち上げまで待った分、魚を入れたい気持ちは強くなりがちですが辛抱が必要です。

魚を入れる場合は間を置いて少しずつ魚を追加していきましょう。定期的に硝酸の濃度をチェックし、硝酸塩が増加しているようであれば許容量を超えていますので魚の追加を止めるか、硝酸の収束がつかないようであれば魚の数を減らしましょう。

まとめ

ベルリン式水槽は魚を入れれる数を抑えたり、強力なプロテインスキマーが必要になりますが、換水に迫られることが無く気難しいサンゴの育成に適したシステムです。

敷居が高いのはネックですが普及しているだけのポテンシャルを持っており、余裕があればベルリン式システムにするのがオススメです。

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